2023年9月8日金曜日

塩屋 その4 垂水の焼肉屋

「焼肉 藤野」は垂水駅東の福田川にある焼肉屋。藤ピョンの息子がやっていて、藤野のオッサンが息子に焼肉屋を作る際に俺のトーアロードにあった白い内装をそのままデザインしたお店。もちろん姫路の出で肉屋一筋のオッサンの息子やから肉は光っている。作家の筒井康隆もお気に入りの垂水の街の焼肉屋。夏の終わりの夕暮れ、久しぶりに藤野の焼肉に行った。最近、ふと藤野のオッサンの事を考える時間が増えたのは、俺が藤野のオッサンに会いたいのかオッサンが俺を呼んだんかわからんがとにかく久しぶりにオッサンに心の中で会えた。

オッサンは姫路の肉屋で、昔気質の筋の通った任侠で人相はソレやが、ホンマは優しくて明るく俺は大好きでオッサンも俺を大切にしてくれたと思う。昼はスポーツジムでは2人で毎日のようにトレーニングして、オッサンが仕事が終わると俺のお店に来ては焼酎を飲んでアホなエロ話しては楽しい酒を飲んだ。ある日、オッサンが「なんか膝が最近カクッと力がぬけるんや」と言ってそれを不思議に思い病院に行ってもはっきりしない診断やったがその日から半年くらい経ち確か市民病院で診てもらうとALSと診断され「泰三ちゃん、俺、もう最後やねん」と俺の前から姿を消した。俺は会いたいからオッサンの家に行くわと言ってもオッサンは「俺の姿は見んでええ」と電話で話すだけになった。それから1年ほどでオッサンは天に召された。

俺は京都に来て3年が過ぎたが、その間、オッサンの事は記憶のすみにおいていたがなぜだろう、最近オッサンが心に出てくる。その流れで息子の焼肉屋に行きオッサンに寄り添った。

焼肉を食べながら終始オッサンの話。相方もオッサンの大ファンやから息子と3人でオッサンの話しで楽しかった。人は死んだら会われへん。でも会いたい。会ってオッサンと乾杯したい。俺はオッサンが喜ぶオッサン仕様のエロトークが出来るから、その下品なエロトークでオッサンの笑顔が見たい。オッサンが笑う目尻のシワが可愛いのだ。

藤野のオッサン。オッサンに会いに行ってよかった。