2018年8月29日水曜日

シェ ローズ

先日、ふとした事でお知り合いになり何度も家族さんでお店に来てくれるようになった北野の名店フランス料理「シェローズ」さんに、次は僕がシェフに会いに行ってきた。僕は街の餃子屋のオッサンやから、料理人の横のつながりとか、勉強会とか洒落た仲間なんかいない。また、僕自身がそんな事に興味がない。いや、僕の知ってる料理人はみんな一人で頑張っている人ばかりだ。
 
シェローズのオーナーさんは、数回お店でお話しただけなのに、こんなに素晴らしい歴史をお持ちなのに、優しく、ユーモアのセンスがエース級で、いつも楽しいお酒を飲まれ、太陽のような奥様を伴侶に輝いておられるシェフ。なにより人柄なのだ。
 
僕は、年に数回しか持つことのないナイフとフォークのお料理。たとえランチといえ背筋が伸びる。それでもシェフの作るお料理が食べたい。そして、こんな素晴らしいシェフを、新しく出来た先輩を彼女に紹介したい。そんな気持ちで白いシャツにアイロンかけて北野まで歩いた。
 
サラダ、前菜、メインの前にシェフがサービスで甘い一品を。食後のスイーツもシェフのベテランのテクニックがお口いっぱいに。お食事中もキッチンからシェフの軽いジョークが連打。フレンチは、肩を張るんやないよ。楽しく時間を過ごすのが本当のフレンチやで。と、教えてくれる器の大きなシェフ。マダムも、それ以上に明るい接客。その2人が作り上げたフランス料理。サラッとけっして重たくない仕上がりのお料理。
 
とにかく最初から最後まで楽しい時間。
 
ごちそう様でした、と席を立つとシェフが
 
「一緒に写真撮りましょうよ!」と、フロントで何枚も肩を組んで写真を撮った。
 
正直、猛暑や台風やいろんなことが重なりキツイ日々を過ごしてる。一筋縄ではいかんなぁ。バイト、支払い、税金、とにかく問題が山盛りですわ。
 
それでも、前に向かい、歩いたり走ったりしなければならないよなぁ。そんなブルーな気分になるけど、ふと心に浮かぶ仲間の顔があると、やっぱり頑張ろうとギアが入る。そして会いたくなる。
 
シェローズ。
 
出会えて本当にありがとう!
 
 

2018年8月28日火曜日

毎日新聞

本日火曜の毎日新聞の夕刊に、僕の記事が掲載されます。
 
きっと駅でしか買えないと思います。
 
とりあえず、お店嬉しさのあまり100部買ってます。
 
ご希望の方、お店にはあります。

2018年8月23日木曜日

夏の思い出

盆が終わり、甲子園も終わった。

まだまだ日中は暑いけど、朝夕は少し涼しくなってきた。盆は休みなしで働いたので8月は休みが少なかったけど、やはり、夏は好きやから休日は夏らしく遊んだ。子供と家の前の浜で遊び、琵琶湖までドライブし、鰻を食べて、湖畔のカフェでゆっくり過ごし、夜は以前から気になっていたBARに行き、2018年の夏が終わろうとしている。台風や水害や猛暑やあまりいい夏ではないような気がする。疲れがたまる夏やったかな。もう、夏はえーわ。
 
それでも、夏は特別な季節。日本の夏はいい。花火大会や、蚊取線香や、セミの鳴き声や、甲子園や、海やプールや、緑色が美しい田んぼや、冷たいラムネや、カブトやクワガタや、なにやらこの歳になってもなにやら忙しい。そして少年の頃の夏を思い返すのも楽しい。小学3年の頃、なんかのサマーキャンプで兵庫の北部の養父で過ごした記憶がある。そのある日の夕方、養父神社の境内でセミ取りして神社のお堂の下にあるアリ地獄を木の枝でつついたり、その境内から日が沈むゆっくりした時間と、カァーカァーと鳴くカラスの声が忘れられない。王子市民プールで4時30まで遊び、帰りにお好み焼きを食べたシーンがいまだに焼き付いている。忘れられない夏は、いくつになってもあると思う。
 
1枚目 友達家族が塩屋に来て竜と遊んだ。奥須磨公園に早朝からカブトやクワガタを取りに行ったが1匹も確保出来ず、浜で遊ぶ。竜よ、記憶に残したかな?
 
2枚目 琵琶湖畔の大好きな小道。一台がギリギリの細い道。湖畔から輝く光が木々に見え隠れする。こな先に静かなカフェがある。
 
3枚目 稲垣潤一が好きな彼女にコピーのシャガールを描いた。わかる人には、このオチがわかる。
 
4枚目 湖畔の鰻屋さんにて。鰻屋さんは昼時になると満席で席に着くのに1時間はかかる。ひつまぶしを注文した。店内のテレビから高校野球が流れていた。
 
5枚目 その帰りに抜群のJBLのスピーカーを設置している大阪空港近くのBARに行った。マスターは山下達郎と大瀧詠一とドゥワップが大好きだ。たまたま僕もドゥワップオタクなので話がヒットし一滴も飲んでないのに盛り上がる。素敵な街の先輩に出会うとどうして心が豊かになるのだろう。あーこんな先輩みたいになれるのだろうか。心が豊かな人は心も美しいなぁ。
 
なんか、全てに感謝やね。

2018年8月14日火曜日

日記

1枚目 この猛暑でお店の植木が枯れてしまい、ちゃんとケアしていなかったのかと反省と後悔でブルーやったのは数日で、その枯れた小枝から新芽が吹いて来た。もしかして、木々がわざと葉を落として生き延びる術やったのか…
 
2枚目 先日、京都から名神を飛ばして餃子20人前をコンスタントに来てくれるお客さん。いつも「早く京都に来てください」と、言ってくれる。ロケーション1発やから、ロケーションは慎重にと。心強い。
 
3枚目 今朝、出勤の電車の車窓から。夏のエネルギーを感じるが暑すぎてなんの風情も感じない。夏の夕方のヒグラシの鳴き声、近くの山に遊びに行き小川で泳ぐと水が冷たくてくちびるがムラサキとか、扇風機にあたりながらの昼寝とか、そんな夏が懐かしく思う。
 
4枚目 人生初の海鮮丼。もひとつやね。
 
お盆は休みなし。
 
自分に甘い、大雑把、はっきりと物を言うのが苦手、中途半端な優しさ、街中では女ばかり見ている、女の胸と尻が好き、酒が弱い…
 
マジで落ち込む時がある。
 
そんなブルーなモードでも、前から来る女を見ている。
 
さあ、今日は最高の笑顔で働こう。

2018年8月2日木曜日

別館牡丹園

先日、炒飯と香港麺を学びたい、やはり他店のスキルを学びたいと、ここは神戸の中華の最高峰。誰もが認める「別館牡丹園」に昼の時間に食べに行った。別館牡丹園のオーナーと言うか大将と言うか総料理長と言うか、一番の偉いさんとは昔からの知り合いで、僕の母からの付き合い。そやから道で会っても「大将!まいど!」「お前、最近どないや?」の大先輩。この日も別館牡丹園におじゃましよったら偶然大将が店から出よったときに遭遇したから「お前、食べに来たんか?」「はい、今日は炒飯とネギのあえ麺勉強しに来ました」
 
「お前、そこ座っとけ」
 
と、相方とテーブルに座って炒飯とネギのあえ麺を注文した。
 
そしたら大将が、僕のテーブルのそばに立ち、僕の母の話を永遠にする。お前かオカンはえぐいオカンやってんぞ。から、そやからお前はその遺伝子あるからお前も普通やないから、大将の料理に対する考え方からありとあらゆるお話をさせてくれた。
 
大将は「ゆーとくけど、俺は客席の横で立って話することなんかあらへんねんぞ。絶対にな。お前やからやぞ」 「ほんなら食べ終わったら厨房入れや。炒飯の作り方、見せたるわ。こんなん絶対せーへんからな。俺らの秘密みせるなんてありえへんからな」
 
僕は、本当に見てえーんやろか?
僕みたいなんに、なんで見せてくれるねん?
 
正直、嬉しかったし、それより大将の気持ちがたまらなかった。俺なんかに…
 
厨房に入ると調理人たちが威勢よく気持ちいい声で挨拶してくれた。教えてくれたのは大将の息子さん。「ほな、いきますよ」
 
息子さんは、炒飯をゆっくりと実況中継しながら教えてくれた。
 
それからテーブルにもどら大将は僕の炒飯に対する質問に全て丁寧に答えてくれた。
 
別館牡丹園のあえ麺にはもちろんオイスターソースを使うのだがその別館牡丹園のオイスターソースを小皿に少し乗せて持ってきてくれ「ちょっと舐めてみい」と。「このオイスターソースは俺らがカキのシーズンきたら広島の契約しとる養殖の牡蠣の漁師からどっさり買ってその牡蠣の状態を把握してその年の一年分つくるねん。自家製のカキオイルつくるの別館牡丹園だけちゃうか?」
 
それから「お前、蒸し鶏、どないして作るねん」「こうこうこうするんです」「アホか!こないするんや!」と、別館牡丹園の蒸し鶏の作り方まで教えてくれた。
 
「お前、いつでもわからんよーになったらウチの厨房こいよ」
 
別館の大将、感謝の言葉見つからへんし、俺も口下手やから、「大将、ホンマにありがとう」しか言えなかったが、俺も52。大将の気持ち、わかるつもりでいる。その意味、受け止めて、お返しをせなアカンのもわかる。でも、この大将の気持ち、嬉しすぎる。
 
ありがとう、しか言えなかったが、なにをせなあかんかを、いま一度、整理して考えるよ。
 
「えーか、本物になるねんぞ」
 
この言葉が、俺の血になってきた。
 
ありがとう!