2024年1月14日日曜日

見知らぬ商店街

昼下がりのビールは気持ちよく酔う。すぐ酔う。酒も入り時刻の事はどこかへ消え、ただ昼下がりの午後、なんとなく広い道を感覚だけで探して歩いたら、これはおそらく蹴上や都ホテルに行きそうな広い道に出た。そこを右折すると軽く下りになり鴨川に着きそうな感じだったのでそのまま歩いた。昼前に家に帰り京都駅あたりで遊ぶ計画は諦めとにかくゆっくり過ごそう。酒を飲むとすべてがどうでも良くなった。

すると左手に古びた細い商店街が見えた。時間はたっぷりある。とりあえず歩いてみよう。商店街のほとんどはシャッターが下りて音のない静かな時間が流れている。居酒屋があいていた。肉屋、誰が買うねんみたいな古びた服屋、接骨院、喫茶店、洋食屋…

洒落た包丁研ぎ屋があった。入ってみると天然石を削った砥石が並び、その奥で若い男が包丁を削っていたので、ここは何屋さんですかと聞いたら包丁研ぎ屋ですと言う。なるほどと感心し、包丁研ぎの悩みを言うと「みんなそうですよ。真っ直ぐ研ぐのはなかなかです。よかったら持ってきてくれたら直しますよ」

これはいいお店を知った。見知らぬ商店街に迷い込んだ意味があったやないか。必ず来ますと伝えて店を出た。それから広い道に戻りおそらく鴨川に出るであろうな方向へ歩いた。