2024年2月21日水曜日

雲海の中で

時計を見ると3時を過ぎた頃だった。早く下山しないと宿まで帰るリフトに乗れなくなるぞ。もう少しここで過ごしたいが帰ることにする。たのんだ白ワインがたまらなく美味い。信州ワインだ。また来年、そう来年までさよならとしよう。しかし志賀高原はたまらんなぁ。

太陽が差し真っ青な空と残雪の白と木々の緑のコントラストが美しい。数枚シャッターを切る。さあ下山としよう。ゆっくりと林間コースを滑る。林間コースの楽しみ方は板と雪との会話を板から伝わる雪面とのビートを体感する。リズミカルに流れる木々。コース脇のオフピステを削る。細かいターンでジグザグの林道を対話する。速度が出ないからこそ林間を楽しむ。

時間も時間だし滑っているのは僕1人だけだった。滑った時間はたった10分くらいだが志賀高原の林間を独占できた贅沢な時間だった。

林間コースが終わり、だだっ広いブナ平コースに出た。下山したから標高も下がった。そうすると雲海の中に入りさっきまで晴天だった空も気がつけばまた灰色の中、つまり雲海の中に突入したのだ。

ブナ平は適度な斜度とかなりワイドなコース幅で気持ちよくカービング出来る。さあ、少しぶっ飛ばして帰ろう。

その瞬間、雲海の隙間から太陽が差した。