2024年3月12日火曜日

ニック その2

その2日後、仕事が終わりバイトのMちゃんとまかないの餃子を食べていたら「コンコン」とドアが鳴る。誰やろ、こんな時間に…

ドアを開けるとそこにニックが立っていた。

ニック、どないしたん?
「こないだ泰三が言っていた銭湯という風呂屋に連れて行って欲しい」と言う。ニック、まじか。よし、そうなら俺は自転車やからユーは先に梅湯に向かって歩き。俺はあとから追いかけるから。ニックは、ありがとうと何度も言って先に出た。風呂屋の前で待っていてなと伝える。高瀬川という小さな川があり橋がある。そこで座っていてくれと。

俺はチャリで梅湯に向かった。するとニックは本当に橋に腰をかけ俺を待っていた。

ニック、よし今から銭湯に行こう。バット、銭湯には少しルールがあるから俺が教えるからな。と、銭湯に入った。

まずはお湯浴びて体を一旦フレッシュにするねん。それから体を洗おう。で、風呂に浸かろう。ニックと一緒に銭湯に浸かった。ニックは「アメイジング!」と日本の銭湯に感動していた。それからサウナに行こう。ニックは俺についてくる。ニック、サウナは基本はしゃべったらアカンのやで。しゃべるならコソコソとやからな。ニックはうなずく。しばらくすると身体から汗が吹き出る。よし、ニック、次は水風呂やからな。ニックは水風呂にもちろん喜ぶ。ニック、ワンモアサウナしよ。YES。フォローミー。再度サウナに。ジーッと汗を出す。ニックがコソッと俺に質問をしてきた。泰三の膝の傷跡はなに?と。あー、これは2年前に膝の骨が壊死して骨を移植した時の傷跡よ。骨が弱ったんよ。と、言ったらニックは少し残念そうな表情になった。俺はそんなつもりではなかったからすぐさまこう言った。

ニック、一番弱いのは身体の真ん中の骨が弱くなったんよ。と言った。まだピンときてない。再度、こう言った。ニック、センターボーンよ。と言い固くなった様子を右手で表す。わかるやろ、ニック。数秒後にニックは理解するとニックは笑いをこらえ静かに爆笑する。「ニック、シー!」と俺も笑顔で。

ニックも日本に始めて来て餃子屋のおっさんと仲良くなり、今、こうやって京都の銭湯に浸かり日本人のおっさんにスーパー下品な下ネタで笑っている。俺はただ日本に来たいい思い出になってくれたら幸いやと。

さあ、ニック、上がろう。俺も家に帰りたい。
1時間ほど銭湯で過ごした。銭湯を出る。ニック、写真撮ろう。記念にな。

ニック、日本の銭湯がいい思い出になれば。