2019年8月6日火曜日

鰻の青葉

鰻の青葉
 
母の実家が元町商店街5丁目の喫茶店で、父が神戸のちょっとした遊び人やったから、洋食といえば三宮の「エスカルゴ」で中華やったら昔の「蘇州園」と「別館牡丹園」で焼肉やったら尼崎の国道沿いの「川上」で、鰻といえば「青葉」やった。
 
母は、青葉の女将と山手学園の同級生で僕も物心ついた時から鰻といえば「青葉」以外食べたことがなかった。小学生の頃から一番好きな食べ物はと聞かれたら「鰻」やった。鰻は美味い。
 
その「青葉」には別にこれといった理由はないが数年ほど足が遠のいており、そうなると行きにくくなり、行かなあかんと思いながらほったらかしにしていたが、先日、青葉の若旦那が「たまにば来てください」と言葉をいただき本当に久しぶりに青葉の暖簾をくぐった。
 
青葉の家族とは全員仲良しで、数年ぶりでもほとんど親戚みたいな感じで僕の相手をしてくれた。
 
鰻屋に行くと、いつも迷う。二択しかないが答えが出せない。蒲焼きか丼か。蒲焼きならご飯のおかわりが好きなタイミングで好きなご飯の量を自由に調整できるが、丼にすると、焼けた鰻の下に鰻の旨味が染み込んだタレご飯と鰻のブロックの鰻ご飯の長方形のかたまりを食べる幸せと、さあどっちやねんと本当に迷う。
 
この日も、俺はこう決めた。
 
注文を聞かれた瞬間に出てきた言葉で決めようと。
 
「お兄ちゃん、どっちする」
 
「どんぶりでたのんますわ」
 
青葉は関東風やから、ふっくら蒸されて柔らかく炭焼きの焼き目が苦くて美味い。
 
デザートにスイカを出してくれたが僕はスイカが苦手やから「これ、次の人にまわして」と遠慮した。
 
これで、もう何も気にしないで青葉に行ける。
 
次はお盆の時に食べに行こう。
 
幸せが、一つふえた。