2023年4月12日水曜日

Re: 柔らかな日差し

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> 下山コースのスカイライン。真っ直ぐ降りればゴンドラ駅にたどり着くが途中で細いコースに左折すると柄沢ゲレンデに流れる。この柄沢に滑り降りるスキーヤーは皆無で柄沢エリアに用事がある人以外滑る人はいない。だからスカイラインから柄沢ゲレンデまで誰一人いなかった。まるで俺1人だけに与えられた贅沢なラストラン。とにかく全てプラスに思い滑り終えた。時刻は午後1時あたり。板を外し振り返り野沢温泉の山を見る。感謝の気持ちでいっぱいだ。歩きながら「たかさか」に帰る。本当にいい旅たったなぁ。思い切って来てよかったよ。柔らかい午後の春の日差しが静かに村全体を包み込み、その日差しの温もりで山全体に積もった雪がゆっくりと溶けていき、村に流れる細い小川にはその雪解け水がぶつかり合い、水音の勢いは元気いっぱいだ。その雪解け水で村はどこを歩いても小川の音が聞こえてくる。それはなにかが始まる音のようでもあるし、寒さから解放された音にも聞こえる。本当に心地良い音だ。
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> 宿に戻り部屋に帰った。宿には誰もいなかった。今朝、滑りに行く前に荷物は整理していたので直ぐにでもさよなら出来るのだが、この二日間過ごした部屋やし、たかさかの女将さんは宿をやめるからもうこの部屋には来る事はない。そう思うと、本当にたかさかに電話してよかった。最後の最後に泊まることが出来るなんて。これも、ご縁だなぁ。カバンからウイスキーを取りだし、そのまま少し飲み窓から村の景色を眺める。時間は止まり、やはり雪解け水の音が聞こえる。
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> さあ、出発だ。スノーボードの板やブーツは宅急便で送るから荷物はカメラと財布だけ。シャトルバスで野沢温泉から飯山駅へ。それから新幹線で金沢。金沢からサンダーバードで京都。全ては終わった。最後に「中尾の湯」で野沢温泉に浸かり帰ろう。中尾の湯は、やっぱり誰もいなかった。僕は熱い湯船にゆっくり浸かった。