先日ビルボード大阪がはねた後、元ミス浴衣美人とミナミに出て何年かぶりに島の内にある三国亭に行ってきた。三国亭のメニューは町中華と変わらぬラインナップだが価格も店内に流れる空気も、いわゆる「ミナミの夜」がそこにあり客層も同伴出勤のママと怪しい不動産屋や味に肥えた歳の重ねた夫妻などがカウンターでゆっくり酒と一品を楽しむ。そんな中華だ。店の窓からは日が沈んだ道頓堀川が見える。この島の内にある中華こそ俺が30年前に餃子屋を始めるにあたり1番影響を受けた店である。
俺は詳しく言うと29年前、三宮と元町の間にある高架の北で餃子屋を始める際、全て自己流で餃子を作っていたが、それではアカンと思いジュンク堂で餃子のレシピを書いている本はないかと探しに行くと、ある一冊の本に出会いそこに三国亭のレシピが書いてあった。そのレシピ、ほとんど俺
が自己流で作っていたレシピとさして変わらない。ならば開店する前に一度食べに行こうと行ってみたら、全てがカッコよく神戸に帰っても三国亭の夜が忘れられない。数日後、俺は決意した。三国亭のスタイルを真似しよう。三国亭のシェフ達はコックスーツを着ている。ならば俺も。餃子のレシピも本に書いてあるとおりに。前菜でいただいたキューリ漬けと蒸し鶏なら、なんとか真似出来そうだ。だから新しく始める餃子屋のメニューは「餃子、蒸し鶏、キューリ漬け」の3品だけで始めることにした。
つまり俺は三国亭がなければ、今の俺はいない。
もちろん三国亭の人は、100%俺の事など知るわけもないが、それはどうでもいい。
ビルボード大阪の後、浴衣美人とカウンターに座り俺の基本となる餃子をいただいた。やっぱり美味しい。餃子以外にも、季節の野菜炒めや蒸し鶏や焼飯などいろいろ食べた。
今のお店では、無理だけどいつか餃子以外にも料理を作りたい。品のある広東中華を学びたい。
60手前やが、まだまだやりたい事がある。
俺に、それが出来るんかいなという不安が大きい。
けどな、そんな未来図を思うのは自由やからな。