2020年2月23日日曜日

セカンドステージ

神戸の街に魅力がなくなっていく空気は何年も前から感じていたし、これからこの街で生きていくにあたり、このままではこれ以上売り上げが伸びることはほぼ不可能やと本気で感じていた。このままでは破産するのは時間の問題やとは確信していた。確かに餃子の評判はいいがそれと経営とはまた別物やと。もうこの神戸にとどまる気は薄れていき未来が本当に不安になり正直に言うと、税金、保険が未払いでどんどん滞納している。
 
もう、この街ではやっていけない。神戸を離れると決意したのは昨年の11月。金は1円もないがこのままでは破産する。それに拍車をかけたのはこの神戸の街になんのポリシーもない餃子屋が増えてきた。もう一言言うなら「お客さんにウケる餃子を作っている」餃子屋ばかりな事実にうんざりしてしまった。こんな街ではやってられんわ、と。私は違う。
 
この味で良かったら来てください、やねん。
 
こいつらとは目指すステージが違う。一緒にされたくない。
 
移転先の場所をいろいろ考えた。大阪、東京、博多、名古屋はよーわからん、金沢も考えた。広島も。だけど、俺にとってこの街以上に魅力ある街、勝てる街はなかった。京都。大好きな京都以外やりたい街はない。京都で1番の餃子屋を目指す事に亡くなった母は反対しないだろう。
 
実は数年前からいずれ京都でお店したいとうっすら思っていた。京都に通い、友人や先輩も出来て「泰三くん、京都でやったら絶対流行るで」と言われた。しかし支払いに追われて軍資金なんか1円もない。
 
だけど11月に決意しそれから京都の先輩のバッキーさんにその旨を伝え、京都に通い京都の地理から覚え自転車借りてうろうろ周り七条、五条、四条、御池、御所の土地勘からまずは覚え事あるごとに京都の街に通いどこかに必ずチャンスはあると走っていた。
 
そしたら先日先輩から連絡あり「泰三君、ちょっとなぁ、ええところが空くんや。家主、知り合いやからとりあえずおさえたからな」と、2週間ほど前に電話が、かかってきたのだ。