仕事が始まった水曜日の、次の日の木曜日には次の休みは塩屋に帰ると決めていた。夏はやはり塩屋に帰り海に浸かりたい。塩屋の浜で燦々と輝く太陽の下でタオル一枚広げてビールを飲みたいと。そんな思いで最終電車に乗っているが神戸駅過ぎたあたりから車窓には雨の水滴が筋を作り始めた。残念でならないがこれだけは仕方ない。そもそも息子の竜に会いたかったが竜に連絡すると「火曜は部活」と寂しラインが一言。これも仕方ない。まあ、それはそれと。思い返せば俺も中2の頃は自分の事と、好きな女と雑誌「popeye」と、部活でいっぱいいっぱいだった。
今週はイタリアのお客さんが何組も来てくれた。俺はイタリアが大好きだ。22か23の頃、2週間かけてイタリアに貧乏旅行した経験がある。ミラノ一泊、ベニス二泊、残りはナポリに滞在し、少しビクビクしながらガラの悪い下町の危険なエリアを覗きに行くのが本当に楽しく毎日のように下町を散策し、ナポリの安いワインを飲みアランチーノばかり食べ、イタリアの下町は俺の好奇心に突き刺さった。港に行くと漁港とヨットハーバーがあって、金もなかったけど全てが楽しかった。
この写真は、ガラの悪い下町に迷い込んで若いチンピラに囲まれた一枚。気がつけば4.5人のチンピラが俺のカメラを首から取り俺は「これは盗まれるな」と堪忍し抵抗する勇気もなくヘラヘラしてこの場から逃げ出したかったがそのチンピラは驚いた事に「一緒に写真を撮ろうぜ」な事を言ってた。奪ったカメラを1人のチンピラがそこに並べと言った。みんなで肩を組もうと言ったと思う。若いチンピラはシャッターが楽しかったのか何枚もシャッターを押した。チンピラは見知らぬ東洋の俺をハグし機関銃のようにイタリア語を喋るがなにを言ってるかもちろんわからないが盛り上がって俺も楽しかった。
久保田早紀の「異邦人」を聞くとナポリの下町がよみがえる。